機密文書の廃棄ガイド|適切に廃棄しない場合のリスクとは
2025.03.22

営業情報や個人情報、取引先との契約内容といった重要な情報が記載された機密文書は、廃棄の方法を誤ると情報漏えいにつながるおそれがあります。
しかし、安全かつ確実に機密文書を廃棄するにはどういった方法が適切なのか分からないという企業も少なくありません。
そこで、本記事では機密文書を適切に廃棄するための方法やチェック項目について詳しく解説します。
なぜ機密文書の適切な廃棄が必要なのか?

企業のリスクマネジメントにおいて機密文書の適切な廃棄は基本ともいえます。それはなぜなのか、4つのポイントに分けて詳しく解説しましょう。
情報漏えいの防止
機密文書には、企業の経営戦略に関わる秘密事項や顧客情報、従業員の個人情報など、第三者に知られてはならない多くの情報が含まれています。
これらを不適切な方法で廃棄し、万が一情報が外部に流出した場合、個人情報が悪用され顧客や従業員にさまざまな実害を及ぼすリスクや、情報漏えいによって経営にさまざまな悪影響を及ぼす可能性もあります。
そのため、機密文書の適切な廃棄は情報漏えい防止の基本といえるのです。
法的規制の遵守
機密文書の取り扱いはさまざまな法律によって定められています。
たとえば、個人情報保護法では個人情報の適切な保管・管理が義務付けられていますが、不要になったデータは速やかに廃棄・削除しなければならないことも意味します。
企業として法的責任を遵守し社会的信用を低下させないためにも、機密文書は適切に廃棄しなければなりません。
企業の信用維持
取引先企業の立場から考えてみると、不適切な方法で機密文書を廃棄している企業との取引は重大なリスクになりかねません。
たとえば、自社との契約内容や営業秘密、顧客の情報など、外部に漏れてはいけない情報が取引先から漏えいするかもしれないと考えるのは自然なことといえるでしょう。
企業としての信用を維持し取引先との関係を良好に保つためにも、機密文書の適切な廃棄は徹底しなければなりません。
環境への配慮
持続可能な社会を実現するために、業種を問わず多くの企業が環境配慮型の経営に取り組んでいます。
CO2排出量の削減が代表的ですが、不法投棄による自然環境破壊を防ぐために書類の適切な廃棄も基本的な取り組みのひとつです。
機密文書を適切に廃棄しないことによるリスク

機密文書を不適切な方法で廃棄した場合、企業にとってどのようなリスクが考えられるのでしょうか。
情報漏洩による社会的信用の低下
機密文書をシュレッダーにかけないまま処分したり、社名が記載された書類を不法投棄していた場合、それを発見した人がSNSなどにアップすると瞬く間に拡散し炎上に至ることも考えられます。
その結果、自社に多くの苦情が寄せられ対応を迫られるほか、企業としての信用が低下し顧客や取引先との関係も悪化していく可能性があります。
長い時間をかけて積み重ねてきた社会的信用が、書類の不適切な廃棄という些細なことが原因で失墜するリスクがあることは十分念頭に置いておきましょう。
法的責任の発生と罰則
機密文書の不適切な廃棄が原因で情報漏えいが発生した場合、適切な管理ができていなかったという理由で法的責任を問われるリスクもあります。
個人情報保護法以外にも、場合によっては刑法で規定されている守秘義務違反に問われる可能性もあり、刑事罰の適用はもちろんのこと民事裁判で損害賠償が請求される可能性もあるでしょう。
経済的損失の増大
機密文書の不適切な処理という不祥事によって訴えられると、刑事罰として罰金が科されたり、数百万円、数千万円単位の多額の損害賠償も支払わなければなりません。
社会的信用の低下とともに顧客や取引先が離れていき、事業そのものも大きな影響を受けるでしょう。
さらに、再発防止の体制整備やクレーム対応にも多額のコストを要し、時間の経過とともに経済的損失が拡大していきます。
事業の立て直しに多くの時間を要するほか、やがて倒産や廃業という最悪の結果も考えられます。
競争力の低下
社会的信用が低下した企業からは顧客や取引先が離れていき、結果として競争力も低下することになります。
また、企業イメージの悪化と業績不振によって従業員のモチベーションが大幅に下がり、会社を去る従業員も増えていくでしょう。
その結果、ますます競争力が低下し業績が悪化するという悪循環に陥っていきます。
環境への悪影響
環境負荷を低減するために、企業から排出される廃棄物は法律に則って適切に処分しなければなりません。
森林や河川などに不法投棄を繰り返していると、自然環境が破壊され、近隣の住民に深刻な健康被害を及ぼしたり生活環境の悪化を招くおそれもあります。
適切な機密文書廃棄の方法

機密文書を適切に廃棄するためにはどういった方法があるのでしょうか。代表的な4つの方法を解説します。
シュレッダーによる裁断
もっとも手軽に実践できるのが、シュレッダーを使い書類を細かく裁断する方法です。
機密性の高い書類を社内で処理でき、裁断後の書類はそのままゴミとして出すこともできます。
小型のシュレッダーであればコストが安価で、中小企業でも導入しやすいでしょう。
その一方で、大量の書類を処理するとなると時間がかかるほか、裁断サイズが大きいと紙片から復元されるリスクもあるため、クロスカットやマイクロカットなどの高度な裁断機能が求められます。
焼却処分
もっとも確実な方法といえるのが、機密文書を焼却炉などで燃やして物理的に廃棄する方法です。
大量の書類も一度に処分できるほか、完全に焼却することで情報漏えいのリスクはなくなります。
ただし、自社で焼却設備を持っていない場合には専門の業者に依頼する必要があるほか、環境負荷が高く近隣の迷惑にもなるため都市部では難しい方法ともいえるでしょう。
専門業者による出張シュレッダーサービス
オフィスへ直接出向き、大型シュレッダーで機密文書を裁断するサービスを提供している専門業者もあります。
大量の文書も短時間で処理できるほか、社内で処理するため外部への書類持ち出しのリスクもなく安全です。
ただし、専門業者によるシュレッダーサービスは処理量に応じてコストがかかるほか、オフィスへ訪問するスケジュール調整なども必要です。
溶解処理サービスの利用
溶解処理とは、水が入った大型の釜の中で書類を撹拌し復元不能にする方法です。
溶解した書類は紙パルプとして再利用されるため、環境負荷を抑えるには最適な方法といえるでしょう。
ただし、出張シュレッダーサービスとは異なりオフィスで処理を完結できないため、情報漏えいを防ぐためにも信頼性の高い専門業者を選ぶ必要があります。
機密文書の廃棄を業者に依頼する場合の選び方

機密文書の廃棄を専門業者に依頼する際には、以下のポイントを参考にすることで信頼性を見極めやすくなります。
セキュリティ対策がしっかりしているか
情報漏えいのリスクを最小限にするため、業者と機密保持契約(NDA)を結べるかや、従業員に対して適切なセキュリティ研修・教育が行われているかをチェックしましょう。
また、処理施設内で書類の不正な持ち出しができない仕組みが整っているか、輸送時にコンテナやトラックから書類が落下しないよう厳重に管理されているかも重要なポイントです。
外部からセキュリティ対策の状況を正しく判断するのは難しいですが、たとえば「ISO27001」や「プライバシーマーク」などの取得状況は客観的な判断材料となります。
処理方法や処理後の証明書の発行を共有してもらえるか
処理方法によってもセキュリティレベルは異なるため、どのように処理するのか明確に提示できる業者を選ぶことはもちろん、廃棄証明書や溶解証明書など、処理後の証明書を発行してもらえるかも確認しておきましょう。
特に、証明書は万が一トラブルが起こった際の重要な証拠となります。
回収から処理まで一気通貫で依頼できるか
機密文書の廃棄は主に「回収」「輸送」「処理」という3つのプロセスに分けられますが、たとえば回収や輸送を別業者に委託している場合、委託会社から情報が漏えいするおそれもあります。
そのため、機密文書の回収から処理までワンストップで依頼できる専門業者がおすすめです。
事前準備不要で依頼できるか
機密文書の中には、ホチキスやクリップで留められていたり、ファイルに綴じられた状態のものもあります。
処理の前にこれらを外すとなると多くの手間がかかるため、事前準備なしで依頼できる専門業者が理想的です。
料金が明確か
料金体系が不透明だと、後で追加費用が発生するリスクがあります。
基本料金の金額はもちろんのこと、重量や容積で明確に料金が定められているかや、特定エリアへの出張料金など追加料金が発生する条件についても事前に確認しておきましょう。
条件が複雑で単純比較が難しい場合には、見積もりをとってもらい合計金額を比較してみるのもおすすめです。
機密文書の廃棄プロセスを見直すためのチェックリスト

機密文書の安全な廃棄を実現するために、まずは現在どのような管理がなされているかをチェックしておく必要があります。
書類の分類や管理、廃棄までのプロセスに応じたチェック項目をご紹介します。
機密文書の分類と保管ルール
廃棄する書類には機密文書とそうでないものがあるため、それらを正しく分類したうえで適切に保管する必要があります。そのために、以下の項目をチェックしておきましょう。
✅ 書類の分類基準は明確か?(例:機密文書、一般文書、長期保存文書など)
✅ 機密文書の保管場所と管理ルールが整備されているか?
✅ 文書管理者が明確に設定されているか?
✅ 不要な機密文書の定期的な確認・整理を行っているか?
廃棄対象の決定
重要な書類を誤って廃棄することのないよう、明確にルールや基準を定めておく必要もあります。
✅ 廃棄対象となる文書の基準が明確に定められているか?
✅ 法令に基づく保存期間を遵守しているか?
✅ 文書廃棄の際に、承認プロセスが設けられているか?(例:上長の承認)
✅ 電子データと紙文書の管理基準が統一されているか?
廃棄方法の選定
書類の量や廃棄の頻度などによっても最適な廃棄方法は異なるため、自社の状況に応じて適切な方法を検討しましょう。
✅ 社内シュレッダー処理、溶解処理、専門業者委託など、最適な方法を選択しているか?
✅ 廃棄方法のセキュリティリスクを評価しているか?(情報漏洩リスクの最小化)
✅ 専門業者に依頼する場合、適切な基準で業者を選定しているか?
✅ 業者のセキュリティ対策(ISO27001、プライバシーマーク等の取得)を確認しているか?
廃棄の実施
安全かつ確実に機密文書を廃棄するためには、以下の項目を確認しておきましょう。
✅ シュレッダー処理の場合、適切な細断レベル(クロスカット等)を選んでいるか?
✅ 専門業者委託の場合、運搬中のセキュリティ対策(施錠管理、GPS追跡)が確保されているか?
✅ 廃棄作業の実施状況を記録し、監査証跡として保存しているか?
✅ 溶解証明書や処理完了証明書を発行してもらっているか?
廃棄後の検証と見直し
廃棄のプロセスが正しく機能しているか、あるいは法改正や世の中の情勢に合わせて運用を検討することも重要です。
✅ 機密文書の廃棄プロセスについて、定期的な監査を実施しているか?
✅ 問題発生時に改善策を策定し、見直しを行う仕組みが整備されているか?
✅ 従業員への機密文書管理・廃棄ルールの教育を定期的に実施しているか?
✅ 法改正や業界動向に応じて、廃棄ルールのアップデートを行っているか?
機密文書の保管・廃棄ならアズコムデータセキュリティまで!
機密文書の廃棄を依頼したいものの、信頼性の高い専門業者がなかなか見つからなかったり、業者の見極めが難しいと感じることも多いでしょう。
そのようなお悩みを抱えている方は、アズコムデータセキュリティへお気軽にご相談ください。
アズコムデータセキュリティでは高度なセキュリティ環境の倉庫で機密文書を一元的に管理しており、保管期間を迎えた後はデータ抹消処理施設において厳重なセキュリティ管理のもと無開梱処理を行います。
溶解処理のため環境面に優しく、処理後は溶解処理証明書も発行するため安心してご依頼いただけます。
まとめ
個人情報や重要情報が記載された機密文書は、不適切な廃棄をすると企業の信頼性を低下させ、法的責任が問われたり経済的損失を被るおそれもあります。
機密文書の廃棄はシュレッダーや焼却処分のほか、溶解処理などさまざまな方法があり、自社に適した方法を選ぶことが大切です。
機密文書を正しい方法で安全に廃棄するために、まずは信頼性の高い専門業者に相談してみましょう。