書類の溶解処理について詳しく解説
2025.05.28

機密文書や個人情報を含む書類を、安全に処分する方法として注目されているのが「書類の溶解処理」です。
企業の情報漏洩対策として、また環境に配慮した再資源化の観点からも、多くの組織や自治体で導入が進んでいます。
本記事では書類の溶解処理の仕組みからそのメリット・適した書類の種類や業者選びのポイントに至るまで幅広く解説します。
書類の溶解処理の仕組み

未開封のまま処理場へ
機密文書は、通常開封することなく処理場へと運ばれます。
専用の回収ボックスやセキュリティバッグに密封されたまま運搬されるため、途中で中身が見られるリスクはありません。
書類の保護と情報漏洩防止の観点から、非常に重要な工程といえます。
パルパー(溶解機)へ投入
処理場に到着した書類は、パルパーと呼ばれる巨大な溶解機へ投入されます。
このとき水と一緒に撹拌されることで、紙は繊維状にまで分解されていきます。
この工程により、文字情報は完全に読み取れない状態となるでしょう。
復元不可能な状態まで破壊
紙は繊維のレベルまで細かくなるため、元の文章を読み取ったり復元したりすることは不可能です。
シュレッダー処理の場合は復元される可能性がありますが、溶解処理ではその心配がありません。
再資源化(リサイクル)
細かくされた紙の繊維は、製紙原料として再利用されます。
トイレットペーパーや再生コピー用紙として生まれ変わることが多く、環境保全にも貢献しています。
機密文書の処理と環境対策を同時に実現できる点も、溶解処理の魅力です。
溶解証明書の発行
処理完了後には「溶解証明書」が発行されます。これは書類が適切に処理された証拠となり、社内監査や外部への説明時に有効となります。
特に情報管理が厳格な企業や医療機関においては、この証明書の有無が信頼性を左右することもあるでしょう。
関連記事:機密文書の廃棄ガイド|適切に廃棄しない場合のリスクとは
書類を溶解処理するメリット
情報漏洩リスクの軽減
溶解処理最大のメリットは、情報漏洩のリスクを大幅に下げられる点にあります。
シュレッダーの場合は処理後の断片から書類が復元される可能性がありますが、溶解処理では紙そのものが粉砕されるため、復元は不可能といって良いでしょう。
環境への配慮になる
溶解後の紙は再資源化されるため、焼却処分に比べて二酸化炭素の排出が少なく、環境負荷も軽減できます。
持続可能な社会の実現に貢献する手段として、SDGsの観点を大切にする企業に多く導入されています。
作業の効率化と手間の軽減につながる
書類がホチキスやクリップで留められている場合でも、外さずにそのまま処理できるため、従業員の手間を省くことができます。
大量の書類を短時間で一括処理できることから、シュレッダーにかけたりゴミを捨てたりといった日常の手間を省き、業務の効率化にもつながるでしょう。
機密情報が抹消された証拠が残る
溶解証明書の発行によって、社内外に対し「機密文書を適切に処理した」ことを証明できます。
コンプライアンス重視の現代社会においては、企業や団体の信頼性を高めるために欠かせない書類といえます。
コスト削減につながる場合がある
シュレッダーの本体代やメンテナンス費用・人件費などを考えると、長期的に見れば外部に委託して溶解処理を行う方が安くなる場合があります。
文書の処理量が多ければ多いほどコストの削減につながるため、大企業など規模の大きな団体にとっても重宝されるでしょう。
溶解処理に向いている書類・向いていない書類

機密文書を一気に処理できる「溶解処理」ですが、向いているもの・向いていないものをそれぞれ把握し、分別してから利用することが大切です。
以下に挙げた溶解処理に向いているもの・向いていないものを確認するとともに、禁忌品が混入しないように注意しましょう。
溶解処理に向いている書類 | 溶解処理に向いていない書類・禁忌品 |
コピー用紙、上質紙、再生紙 | カーボン紙、感熱紙、昇華転写紙、感熱発泡紙 |
紙フォルダ・紙バインダー・ノート | 写真(特殊加工)、合成紙、トレペ |
封筒、紙ファイル、キングファイル | ビニール・プラスチックファイル、クリアファイル |
ホチキス・クリップ・ひも留め書類 | CD、DVD、メディア類、衣類、陶磁器など |
ふせん・シール付き書類(部分的) | ガラクタ類、文房具(ボールペン等) |
紙ではないものが混入してしまうと、機械トラブルやリサイクル妨害の原因となります。
文書の量が多ければ多いほど直前の分別が困難となるため、日頃から従業員に周知し、こまめな分別を心掛けましょう。
関連記事:書類の保管期間を遵守しよう!破った場合のペナルティ・影響は?
書類溶解サービスを利用する際の注意点
紙以外のものを混入しない
紙以外のもの、特に先ほど挙げた禁忌品の購入はトラブルの元となります。
ホチキスの針程度であれば許容されますが、大きなプラスチック部品などは必ず取り除きましょう。
紙製ファイルの留め具がプラスチックでできている場合などにも注意が必要です。
溶解処理できない禁忌品の確認
業者ごとに受け入れ可能な素材が異なる場合があるため、利用前に確認しておくことが大切です。
同じ「紙」ではあっても、感熱紙や写真などは多くの業者でNGとされる場合が多く、混入には一層注意しなければなりません。
溶解証明書の発行有無
溶解証明書を発行してもらえるか、発行時に手数料がかかるかといった点にも注目しておきましょう。
社内外での証明として役立つため、必要な場合は事前の確認が必要です。
処理量が適正か確認
業者の規模によって、最低ロットや最大処理量が定められていることがあります。
一度に多くの書類を処理できない場合は、利用する頻度を増やし、こまめに持ち込むことが大切です。
書類溶解業者の選び方で失敗しないための比較ポイント

プライバシーマークを取得しているか
プライバシーマークの取得は、情報管理の信頼性を測る基準となります。
個人情報を多く取り扱う業者では、取得の有無を確認し、万が一の情報漏洩リスクを最小限に抑えることが大切です。
一社完結型か
回収から処理までを同じ企業で対応しているかどうかもポイントとなります。
中間業者が入るとそれだけ輸送中のリスクが高まるため、可能な限り一貫して対応できる業者を選びましょう。
即日処理が可能か
急ぎの場合に即日対応してもらえる業者は、いざというときに頼れるパートナーとなります。
緊急時にすぐ依頼できるよう、最短での処理時間を把握しておきましょう。
同時に即日処理が可能な最大量を確認しておき、緊急時の備えとしておくと安心です。
運搬距離が短く済むか
企業や団体から処理場までの距離が短ければ短いほど、輸送時の文書紛失リスクが抑えられます。
地元密着型の業者や、持ち込みから時間をかけずに対応してくれるところを探しましょう。
処理工程が明確か
回収から処理までの工程を明確に示している業者は、透明性が高く、安心して機密文書を預けられます。
公式サイトに工程フローが掲載されていたり、利用時にパンフレットなどで細かな説明を受けられたりする業者を選びましょう。
料金システムが明確か
基本料金や追加料金の仕組みが明確であるかどうかも、業者選びの重要なポイントとなります。
料金が不透明なあまり、後から思わぬ追加費用が発生するケースもあり、信頼して機密文書を任せにくくなるでしょう。
加算される可能性があるオプション費用について細かく掲載されている業者を選ぶとともに、利用前に見積もりをとり、納得した上で依頼することが大切です。
口コミや評判はどうか
実際に利用した企業や団体からの口コミは、依頼する上で非常に参考になります。
利用して見なければ分からないスタッフの丁寧さや対応の手厚さ・トラブルの有無などを確認し、安心して依頼できる業者を選択しましょう。
GoogleマップやSNSなどを駆使し、あらゆる方面からの口コミを集めることが重要です。
関連記事:会社の書類保管を厳密に行わなければならない理由とその方法
書類の溶解処理ならアズコムデータセキュリティ
アズコムデータセキュリティでは、書類単位・箱単位どちらにも対応した保管サービスを実施しています。
書類だけでなくCDやDVD・書籍・カルテなどあらゆる保管物をお預かりし、厳重な管理の元で保管が可能です。
保管場所がある埼玉県秩父市は強固な地盤がある土地を選んでおり、万が一の災害時も安心です。
また、保管物を返却する場合や、新たな保管物をお預かりする場合は、最短翌営業日にセキュリティーカーでお伺いします。
プライバシーマークも取得済の企業であるほか、セキュリティ教育を受けた自社社員が対応するため、終始安心してお任せいただけます。
もちろん、保管した書類を溶解処理しなければならない場合は、社内で一貫した対応が可能です。
溶解証明書の発行も可能であり、法令遵守の観点からも安心してご利用いただけるでしょう。
まとめ
書類の溶解処理は、単なるゴミ処理とは異なり、情報漏洩を防ぎながら環境にも配慮できる重要な役割を担っています。
企業の信頼性を高め、業務効率を向上させるためにも、信頼して依頼できる業者をご利用ください。